和紙は多くの工程を経て生まれる
和紙は、ただ植物をすいて作るだけの紙ではありません。原料となる楮を刈り取り、その皮をはぎ、煮て、洗い、選り分け、さらに繊維を整えてから紙漉きの工程へ進みます。
一見すると静かな素材に見える和紙ですが、その背景には多くの手間と経験があります。工程のひとつひとつが、紙の強さ、しなやかさ、風合いに関わっており、どこか一つを省けば同じ質感にはなりません。
和紙づくりの基本的な流れ
- 楮を育て、刈り取る
- 蒸して黒皮をはいで乾かす
- 白皮を整え、煮熟する
- ちりを取り除き、繊維を整える
- 水と材料を合わせて紙を漉く
- 圧搾し、乾かして仕上げる
1. 楮を刈り取る
和紙の原料となる楮は、育った枝を刈り取るところから始まります。楮は毎年のように枝を伸ばし、その皮の繊維が紙づくりに使われます。紙に向いた良質な繊維を得るためには、栽培の環境や収穫の時期も大切です。
2. 蒸して皮をはいで乾かす
刈り取った楮は、まず蒸されます。これは皮をはぎやすくするためで、蒸し上がった枝から黒皮をむく作業が行われます。
3. 白皮を整え、煮熟する
黒皮から外側の表皮を取り除き、紙の原料として使う白皮の部分を整えます。その後、白皮は薬品や灰汁などを使って煮熟され、繊維がやわらかくほぐれやすい状態にされます。
4. ちり取りと繊維の選別
煮た白皮は水洗いされ、細かなごみや変色部分、節のかたい部分などを手で取り除きます。これを「ちり取り」と呼び、和紙の仕上がりを左右する大切な作業のひとつです。
和紙の質を左右する工程
- 白皮をきれいに整えること
- 煮熟によって繊維をほぐしやすくすること
- ちり取りで不要な部分を丁寧に取り除くこと
- 繊維の状態を見ながら工程を調整すること
5. 繊維をたたき、紙料を整える
選別を終えた原料は、繊維が均一になるようにたたいたりほぐしたりして整えられます。その後、水の中に分散させ、必要に応じて植物性の粘液を加えながら、紙を漉くための紙料を作ります。
6. 紙を漉く
和紙づくりの中心となるのが紙漉きです。簀桁と呼ばれる道具を使い、水の中に広がった繊維をすくい上げ、揺らしながら均一な厚みに整えていきます。
7. 圧搾して乾かす
漉き上げた紙は重ねられ、余分な水分を抜くために圧搾されます。その後、一枚ずつ乾燥させることで和紙として仕上がっていきます。
こうして出来上がった和紙は、灯りの中や暮らしの中で生きる素材になります。また、どの土地でどのような技術が受け継がれてきたかを見ると、和紙の産地への理解も深まります。
まとめ
和紙は、楮の刈り取りから始まり、皮はぎ、煮熟、ちり取り、紙漉き、乾燥という多くの工程を経て作られます。その一つひとつの手間が、和紙の強さ、しなやかさ、風合いを支えています。